フィッシュレザーの作り方|魚の皮が革になるまでの工程を解説

魚の皮から革をつくる「フィッシュレザー」。

魚の皮は、そのままでは革として使うことができません。生の魚皮には水分や身、脂などが含まれているため、さまざまな加工を重ねながら、少しずつ革へと変えていきます。

では、魚の皮はどのような工程を経て、フィッシュレザーになるのでしょうか。

この記事では、フィッシュレザーができるまでの大まかな製造工程と、魚皮ならではの加工の難しさについて、Sanriku Leatherの取り組みを交えながら紹介します。

フィッシュレザーはどうやって作る?

フィッシュレザーは、魚の皮をそのまま製品にするわけではありません。

まずは皮に残った身や脂などを取り除き、加工に適した状態へと整えます。その後、鞣し(なめし)や加脂、乾燥、染色、仕上げなど、複数の工程を重ねながら革へと変えていきます。

魚種や皮の状態、目指す革の質感などによって必要な処理は異なります。そのため、フィッシュレザーには「魚皮に合った加工方法を見つけること」が重要です。

① 魚の皮をきれいにする

魚から取り外したばかりの皮には、身や脂などが残っています。

まずはこれらを取り除き、皮を加工しやすい状態へ整えていきます。

魚種によって皮の厚みや脂の量などが異なるため、皮の状態を見ながら適切に下処理することが重要です。

この段階でしっかりと皮の状態を整えることが、その後の革づくりにもつながります。

② pHを調整し、鞣しに適した状態へ

魚皮を革へ変えるうえで重要なのが、鞣し(なめし)です。

鞣しを行う前には、皮の状態を整えながらpHも調整し、鞣しに適した条件へ整えていきます。

こうして皮を適切な状態にすることで、鞣し剤が皮の繊維に作用しやすくなります。

その後、鞣しによって皮を腐敗しにくく、革として扱える状態へと変えていきます。

フィッシュレザーの場合は、魚皮の特徴に合わせてどのような条件でpHを調整し、鞣しを行うかが重要なポイントです。

Sanriku Leatherでも、サクラマスの皮に適した加工条件を探りながら、強度や柔軟性、耐久性を備えた革を目指して研究しています。

③ 革の状態を整える

鞣しが終われば、それだけで完成ではありません。

その後も、革の柔らかさや質感などを整えるために油分を加えつつ、乾燥させながら革としての状態を仕上げていきます。

魚皮は薄く繊細な部分もあるため、強度を保ちながらも、油を加えることで製品として使いやすい柔軟性を持たせることが重要になります。

また、しっかりと乾燥させることで、残った水分や臭いを飛ばしていきます。

④ 染色して色をつける

革の状態が整ったら、染色工程で色をつけていきます。

染色によって革の印象は大きく変わりますが、フィッシュレザーでは魚の鱗模様をどのように見せるかが重要なポイントです。

色をつけるだけではなく、魚皮ならではの表情を残すように色づけをしていきます。

⑤ 表面を仕上げて完成

最後に、革の表面を整えて仕上げます。

Sanriku Leatherでは、表面の状態や質感を見ながらコーティングなどの仕上げを行い、鱗模様を活かしながら、製品として使いやすい革を目指しています。

こうして、魚の皮が一枚のフィッシュレザーへと変わります。

フィッシュレザーの製造が難しい理由

フィッシュレザーは、一般的な革の製造方法をそのまま魚の皮に当てはめればよいというものではありません。

魚は種類によって、皮の厚みや鱗、繊維の状態などが異なります。

さらに、同じ魚種でも一枚ごとに皮の状態が違うことがあります。

そのため、

「どうすれば魚皮の個性を残しながら、革としての強度や柔軟性を高められるのか」

を探っていく必要があります。

この魚皮に合わせた加工条件を見つけることが、フィッシュレザーづくりの難しさであり、面白さでもあります。

Sanriku Leatherではサクラマスの革を研究

Sanriku Leatherでは、まずは岩手県釜石市のサクラマスでフィッシュレザーの研究・試作を進めています。

目指しているのは、魚の皮をただ革にすることではありません。

魚皮ならではの鱗模様や個性を活かしながら、強度・柔軟性・耐久性を備えた、製品に使いやすい革にすること。

そのために、さまざまな条件を試しながらサクラマスの皮に適した革づくりを研究し、より良いフィッシュレザーを目指しています。

まとめ | 魚の皮が、革になるまで

魚の皮は、下処理から鞣し、加工、染色、仕上げまで、さまざまな工程を経て革へと変わります。

そしてフィッシュレザーでは、魚種や皮の状態に合わせた加工方法を見つけることが大きなポイントです。

Sanriku Leatherでは、三陸の魚皮を新しい革素材として活用するため、これからも研究と試作を重ねていきます。

魚の皮から、『革』をつくる。

その一枚ができるまでにも、さまざまな試行錯誤があります。